Work

プロセスの中でいくつか提唱されたステップを見てきた。d.schoolプロセスは最近の流行りのデザインファームが多く取り入れている基本的なものと思う。それらの中からナレジックス定義の書式も合わせて幾つかの簡単なワークを行ってみたい。項目の上からデザイン思考プロセスをなぞる形で進めたいと思う。


 

現状把握

なんにもない状況、困ったものですがこの世にはよくあります。
例えば新事業開発部が創設されてあなたはそこのマネージャーに任命されました。資金とメンバーが数名アサインされています。みんな掛け持ちからの異動で、いままでのクライアントのマネージに奔走しています。しかしあなたの猶予はまずは1年です。なにか結果を出さなくてなは行けないのです。ですが新事業開発、というキーワード以外、何も会社からは情報がありません。こんな新事業ブームが今も続いているのです。

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社内/自分の環境を把握して0(ゼロポイント)定義

普通、新事業部門を押し付けられても何もできないでしょう。それはほとんどのケースが以下の情報を与えられていないからです。
•あなたの企業/組織のミッションステートメント
•あなたの企業/組織の戦略目標
•マネージャまたはグループの長期目標とKPI
•あなたの会社のペルソナ
まずはこれを明らかにします。

ミッション・ステートメント・シート

 

仮説

1stステップはいろいろな状況が考えられる。もしかしたら「VRを使ったビジネスを考えないといけない」などいきなり発想を求められるシチュエーションもあるかもしれない。
①大枠の課題や方向性があり、環境セグメントのエリアからまずは課題を創出する場合。
②ビジネスやサービス、アイディアや改善案件、クライアントから実現オファーがあった場合
①の場合は大きな環境から課題を見つけていくのでやや長い道のりになる。②の場合はより現実的なテーマから開始できる。①を行った後に②に進むと良い。
取り出された内容を“今把握できる範囲で”リストアップしていく。歯抜けがあっても今は構わない。そうすることで非常に早い段階の要件定義の仮説が出来あがる。そして次のステップの観察するべき対象が浮き彫りになる。重要なのは、おぼろげでも目的や目標を出来るだけ明確に記述すること。最後までぶれないために、いつでも振り返って確認することが求められる。

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仮説共有シートとステークホルダーマップで仮説を明確にする

①の場合、課題抽出シートでまずは課題を特定する。まず環境のエリアを決める。複数でもOK。次にその環境の時間軸での変容を予測する。5年、もしくは10年ぐらいでいいだろう。変容の予測にはFuture Timeline等を利用して欲しい。その変容の中で環境を阻害するものや困難なもの、課題を抽出していく。その課題についてフラッシュアイディアを出す。その中から光るものを採用する(②へ)。
②の場合、仮説共有シートを使っていま把握している現状を埋めていく。特に想定しているユーザー像はできるだけわかりやすく記入する。ステートメント、コアフィーチャーや諦めることはこの時点で埋められなくても構わない。このシートは確定するまで書き直すことが前提となる。同時に関わる登場人物をステークホルダーマップにリストアップしていこう。エモーショナルな利害関係が見えるなら尚良い。どのような登場人物が相互に作用するかで提供する側と享受する側の関係や必要なもの、ターゲットの全体が俯瞰できる。
*未来予測は博報堂 生活総研の 未来年表が使いやすいです。

課題抽出シート/Future Timeline/仮説共有シート(ステートメント)/ステークホルダーマップ


 

調査 ユースケース(UX/サービス)

仮説共有シートの"提供するターゲットユーザー"に着目しよう。ユーザーやシステムを満足させることが人間中心的な機能の目標。だからこの人物がどのように振る舞っているかを知りたい。この仮説にまつわるこのターゲットの活動を知りたい。チームの中からこの人物に近い人を選出しよう。その人に今回の仮説にまつわる項目の実情をインタビューしてみよう。

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半構造化インタビュー

まず想定するユースケースをベースにターゲットユーザーに聞いてみたい一連の質問を作成してみよう。対象のサービスや類似したサービスなどの行動を、"情報取得からどのようなステップ経て時系列で行っているか"聴取するのがコツ。事前に聞きたい項目は用意するが、文脈を知りたいので特に縛られず自由にインタビューする。これが半構造化の特徴。この作業でカスタマージャーニーが明らかになっていく。混乱するようならペルソナシートを利用する。仮説のユーザー像を定義したり、インタビューする被験者の情報を網羅することにも使える。

インタビューシート/ペルソナシート

 

調査 UI(アプリ/Web)

仮説共有シートの提供するサービスに着目する。もし改善モデルなら現在動いている画面を使った提供物があるはずである。今回の仮説ユースケースにそって操作タスクを決めてみよう。チェックシートに沿って操作をしてみよう。思いもよらない事が判明するかもしれない。

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チェックリストによるヒューリスティック評価

まず操作タスクを設定しよう。アプリなどなら目標やゴールがあるはずだ。その経路に問題があるという仮説なら、その操作がタスクになる。設定したタスクに沿って操作を行おう。その際に気づいた点、困難な点、不可解に思った点、快適な点などメモをとる。その後、チェックシーリストで上から順番に採点を行おう。きっと問題が顕在化するはずだ。チェックリストは0(NG)、1(どちらともいえない)、2(とても良い)の3段階で青いフィールドに記入してください。
V1はアプリ用、V2はWeb用です。


 

課題整理 (UX/サービス)

インタビューで聴取したターゲットの声をまとめよう。Empathy Mapでまとめるとターゲットのニーズを整理することができる。

 

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共感マップ(Empathy Map)でインタビュー整理

Empathy mapにインタビューしたターゲットの声を埋めていく。整理していくと主要な要求が可視化されていく。まず1のシートにインタビュー内容を分類していく。次に2のシートで更に分析を加えた様子を整理していく。ターゲットのニーズが見えてきたら最後に3のシートでニーズを明らかにする。まとめるときはポストイットを使うといいだろう。また絵で表現しても良い。

共感マップ(Empathy Map)


 

アイディア発想 (UX/サービス)

情報は整理されてきている。この状況を元に、仮説シート、ステークホルダー、ユーザーニーズ、チェックリストを囲んで必要な機能やサービス、アイディアの問題解決を抽出しよう。数名でブレストを行い、この難問の答えを導こう。

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ブレストでアイディア発想

数名のメンバーでブレストを行い発想しよう。ブレストルールを白板に貼り出し、ルールを意識しながら進めよう。ブレストにはマスターが必要。一人かならず進行役を設定すること。各自ポストイットを持って、簡潔にキーワードを出来るだけ少ない文字数で書きながら白板に貼り出し、同時に説明を加えよう。とにかく数を狙って沢山抽出。批判や喧嘩はダメゼッタイ。周りの意見に乗っかり、奇抜なことでも臆せず出そう。簡単な絵で表現してもOK。ブレストの結果はクラスタリングを行い、グループで分けよう。いくつかの軸のアイディアが可視化されるはずだ。

ブレストのルール


 

サービスモデルの作成 (UX/サービス)

ユーザーの声から問題点の俯瞰が終わり、ブレストでアイディアも出た。必要なものがおぼろげながらに見えだしているかもしれない。その気持をもってアイディアシートを使って今回の提案をブラッシュアップしていく。各象限を埋めてサービスのイメージを絞り込んでいこう。絵を書こう。

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アイディアシートで整理(作成開始)

まだ情報は十分ではないかもしれないが、アイディアシートの各象限を埋めてみよう。まずは現状の課題を記入。Aは現状の考察。いまあることが行われていて、何かがあるとうまく行っているが、ある事があるとうまく行かないらしい。Bは今回のアイディア。強みと特徴、ユーザーニーズを満足させる仕組みを記入していく。Cはステークホルダーの心情。このアイディアが提供されたらみんなにどんな効果があるのか。Dは具体的な仕組み、それに対する乗り越えるべき壁。Eには更に発展しそうなアイディアを記載していく。最終的にFにこのサービスのステートメントキーワードが完成する。

アイディアシート


 

プロトタイプ (UX/サービス)

サービスモデルのプロトタイプは、その全体像が有形でないためにUIや画面、プロダクトのような単体のプロトタイプとして表現できない。このような表現が難しいものは、ユーザーの経験や取り巻くシステムの振る舞いを一連のイラストで表現したストーリーボードがよい。ストーリーボードはステークホルダーで閲覧するだけでも評価になり、問題点を炙り出せる。また評価時はロールプレイすることで体験が可能だ。表現やクオリティに制限はない。時系列で課題が解決していく流れを表現するのが重要だ。
またその流れが体系的に発想できたら、CJM(カスタマージャーニーマップ)落とし込んでみると良い。この時点でターゲットペルソナがどのような経路でこのサービスに触れるかを詳細に作り込む。これ自体もアクティングアウトの台本となる。

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ストーリーボードとCJM(カスタマージャーニーマップ)

テンプレートを使用して体験の流れを時系列で表現しよう。どのようなタッチポイントが発生し、どのように体験したのちに満足していくのか、心情がわかるように表現しよう。クオリティは求めないので、自由に表現しよう。絵だけで伝わらない場合は文章で補足しよう。
CJM用紙に時系列に沿って細かく再定義しよう。この作業では先に作成したペルソナシートを使用する。それらペルソナがどのようにこのサービスと触れて経験するかを明らかにする。

CJMマップ / ストーリーボード(+参考:Kevin Cheng Preasentation)

 

プロトタイプ (画面/アプリ/Web)

アプリやWebの提案ならプロトタイプを作り検証しよう。ペーパープロトテンプレートを使って主要な画面を描いていく。絵心があればいいに越したことはないが、今は関係ない。きれいにするのは最後にデザイナーがやるから大丈夫。

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ペーパープロト作成

テンプレに各画面の遷移を一画面ずつ作成していこう。実際にはAdobe xDなどのソフトウェアで簡単に作成出来る時代だが、描いて作って体験してみる。作成する画面はプロト評価に使用するので、作成する画面は評価を行う遷移の部分だけでOK。比較という意味で、最初に検証したタスクと類似の遷移が望ましい。絵心はここでもそんなに重要ではない。必要な要件が盛り込まれていることが重要。

ペーパープロトテンプレート


 

評価 (UX/サービス)

ストーリーボードの評価は、関係者で確認したり、ロールプレイを実際に演じてみるといろいろなことが判ってくる。椅子や机、携帯電話やダンボールなど、身近なものを使って簡単に状況を作成し、数名で役割を決めて一連のユーザー体験を演じてみる。かならず評価するための第三者複数名に見てもらう。その後フィードバックを行うことで客観的な気づきを得ることが出来る。

 

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ロールプレイ(ストーリーボード確認)

ストーリーボードを元にロールプレイを行う。机やダンボールなどで仕切りや空間を作成し、店舗のように見立てたり、ダミーのスマホを操作してみたり、 想像力を働かせた状況設定を構築する。そして被験者役を立てて実際の一連の体験を行う。観覧者を設置し、ロールプレイ後にブレスト形式で課題や気付き、良い点も含めて可視化する。このプロセスを繰り返す事でプロトがブラッシュアップされていく。(ここでは参考映像を観てみよう。)

ロールプレイの参考映像

 

評価 (画面/アプリ/Web)

作成したペーパープロトを元に、タスクを設定して評価を行おう。この時重要なのは、目的を達成するプロセスでどのような心境の変化、気付きが生まれるかだ。

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ペーパープロトをアプリ化

8で作成したペーパープロトをスマホのカメラで取り込み、予めインストールしたプロトタイプアプリを使って遷移を完成させよう。出来上がったプロトタイプで実際にタスク評価を行ってみよう。自分だけでやると達成感に浸ってしまうかもしれない。是非周りの仲間にも触ってもらい、意見をもらおう。各遷移の気付きはメモを取り、フィードバックはプロトに反映しよう。


 

アイディアシートの作成(完成) (UX/サービス)

ユーザーの声から問題点の俯瞰が終わり、ブレストでアイディアも出た。プロトの問題点も見えた。UXも固まってきた。必要なものがすでに見えだしているかもしれない。アイディアシートを完成させよう。
忘れてはいけない。これはまだスタート地点。これから形にしていくのだ。